「あなたの住む都道府県は、地震保険料が高いグループですか? それとも安いグループですか?」
あおてんもしこの質問にすぐ答えられないなら、この記事はきっと役に立ちます
実は地震保険は、住んでいる都道府県によって年間の保険料が最大3.8倍も変わる、意外と知られていない仕組みを持った保険です。同じ1,000万円の補償でも、ある地域では年間7,300円、別の地域では27,500円
この差を見て「高い地域は損だから入らなくていい」と考える方は少なくありません。
しかし結論から言うと、それは大きな誤解です。



保険料が高いということは、専門機関のデータにもとづいて「その地域は地震が起きる可能性が高い」と判断されている証拠なのです
この記事では、都道府県別の保険料早見表を見ながら、「保険料が高い=入らない方がいい」という考え方がなぜ間違いなのか、そして実際に加入すべきかどうかをどう判断すればいいのかを、中学生でも理解できるやさしい言葉で解説していきます。



読み終わるころには、あなたの住む地域にとって最適な答えが見つかっているはずです
【結論】保険料が高い都道府県に住んでいる人ほど、地震保険に「入るべき」
まず先に結論からお伝えします。



地震保険料が高い都道府県(東京都・千葉県・神奈川県・静岡県・埼玉県・茨城県・徳島県・高知県など)に住んでいる人は、保険料が高いからこそ、地震保険に加入することを強くおすすめします
「保険料が高い=損だから入らない方がいい」と考える人がいますが、これは大きなかんちがいです。実はまったく逆で、「保険料が高い=それだけ大きな地震が起きる可能性が高いと国が判断している証拠」なのです。つまり保険料の高さは、そのまま「リスクの高さ」を表す数字だと考えてください。
なぜそう言い切れるのか、ここから理由をくわしく説明していきます。
地震保険料は「地震が起きる確率」で決まっているから
地震保険は、国と民間の保険会社が共同で運営している
まず知っておいてほしいのは、地震保険は普通の保険とはちがう、特別な仕組みでできているということです。地震保険は「地震保険に関する法律」という法律にもとづいて、日本政府と民間の損害保険会社が共同で運営しています。



普通の保険(たとえば自動車保険や医療保険)は、会社によって保険料や補償の中身がちがいます
しかし地震保険は、どの保険会社の窓口で契約しても、保険料も補償の内容もまったく同じです。A社で契約しても、B社で契約しても、支払う保険料は1円も変わりません。これは地震保険が「もうけるための商品」ではなく、「大きな災害が起きたときに国民みんなで支え合うための仕組み」として作られているからです。
保険料を決めているのは「地震が起きる確率」を研究している専門機関
では、保険料の金額はどうやって決まっているのでしょうか。実は保険会社が勝手に決めているわけではありません。文部科学省の外部機関である「地震調査研究推進本部」が発表している「確率論的地震動予測地図」というデータをもとに、損害保険料率算出機構という組織が、都道府県ごとの地震が起きる危険度を計算し、保険料に反映させています。
つまり地震保険料は、次の2つの要素だけで金額が決まる、とてもシンプルな仕組みになっています。
- 建物がある都道府県(地震が起きる確率の高さ)
- 建物の構造(コンクリート造などの「イ構造」か、木造の「ロ構造」か)
イ構造は鉄骨造・RC造・SRC造といった燃えにくく壊れにくい建物、ロ構造は一般的な木造住宅のことを指します。同じ都道府県でも、ロ構造(木造)はイ構造(非木造)よりも保険料がおよそ1.5倍高くなります。木造の方が地震のゆれや火災に弱いと考えられているためです。
「南海トラフ地震」や「首都直下地震」の想定地域ほど保険料が高い
保険料が高く設定されている都道府県には、共通点があります。それは、政府が「今後30年以内に大きな地震が起きる可能性が高い」と発表しているエリアと、ほぼ重なっているという点です。
たとえば太平洋側の広い範囲で大きな被害が想定されている「南海トラフ巨大地震」の震源域に近い静岡県・徳島県・高知県、そして首都圏に大きな被害をもたらすと考えられている「首都直下地震」の想定エリアに含まれる東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県。



これらの都道府県はすべて、保険料が高いグループに入っています
保険料が高いということは、それだけ「専門家たちがデータにもとづいて危険性が高いと判断している」ということです。この理由を知ると、「保険料が高いから入りたくない」ではなく、「保険料が高いからこそ、備えが必要なんだ」という考え方に変わってくるのではないでしょうか。
都道府県別の地震保険料をくらべてみよう
理屈だけではイメージがわきにくいと思うので、実際の金額を見ていきましょう。以下は、保険金額1,000万円あたり・保険期間1年でかかる年間保険料の目安です(2022年10月改定の基準料率にもとづくもので、実際の金額は割引の有無などで変わります)。
保険料が安いグループ(年間7,300円〜11,200円)
北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県など
- イ構造(コンクリート造など):年間7,300円
- ロ構造(木造):年間11,200円
保険料が中くらいのグループ(年間11,600円〜19,500円)
宮城県、福島県、山梨県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、香川県、愛媛県、宮崎県、沖縄県など
- イ構造:年間11,600円
- ロ構造:年間19,500円
このグループには、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県・福島県や、南海トラフ地震の影響が心配されている愛知県・三重県・和歌山県が入っています。
保険料が高いグループ(年間23,000円〜41,100円)
茨城県、徳島県、高知県
- イ構造:年間23,000円
- ロ構造:年間41,100円
保険料が最も高いグループ(年間26,500円〜41,100円)
埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県
- イ構造:年間26,500円〜27,500円
- ロ構造:年間41,100円
もっとも安いグループ(7,300円)ともっとも高いグループ(27,500円)をくらべると、同じイ構造の建物でも保険料に約3.8倍もの差があります。木造(ロ構造)で見ても、11,200円と41,100円で、約3.7倍の差です。
たとえ話で考えてみよう
これはたとえるなら、台風がよく通るコースの真下に家を建てるか、めったに台風が来ない内陸に家を建てるかのちがいのようなものです。台風がよく来る地域では「台風保険」のようなものがあれば当然保険料は高くなりますが、それは「台風が来やすい場所だから、備えがより必要」ということを示しているのであって、「保険料が高いから入らなくていい」という意味にはなりません。地震保険もまったく同じ考え方で見るとわかりやすいでしょう。
「保険料が高いから入らない」は本当に正しい判断なのか
ここで、多くの人が抱きやすい誤解について、もう一度考えてみましょう。
「保険料が高いなら、その分損をするのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、地震保険は「保険料に見合う分だけ、地震が起きたときの安心が手に入る」商品です。保険料が高い地域は、それだけ大きな地震が起きたときの被害も大きくなりやすい地域でもあります。



つまり、保険料が高い=リスクが高い=もしものときに助けてもらえる金額も重要になる、ということなのです
実際に、2024年1月に発生した能登半島地震では、被災した石川県の地震保険加入率(付帯率)は66.4%と全国平均を下回っていました。その結果、多くの世帯が十分な備えのないまま被災することになったと指摘されています。この地震による住宅被害は全壊・半壊あわせて約24,000棟にのぼり、支払われた保険金は740億円を超えました。



もし地震保険に入っていなければ、この740億円分の生活再建費用を、被災した人たちが自分の貯金やローンだけでまかなわなければならなかった可能性があるのです
このように考えると、保険料が高い都道府県に住んでいる人ほど、「もしものときの備え」としての地震保険の価値は大きくなると言えるでしょう。
それでも保険料が気になる人へ:安くする4つの方法
「理由はわかったけど、それでも保険料が高いのは家計に響く」という方のために、地震保険には保険料を安くできる割引制度が4種類用意されています。



これらは重複して使うことはできませんが、条件に当てはまれば大きく負担を減らせます
| 割引制度 | 割引率 | 条件 |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 国の基準に適合する免震建築物 |
| 耐震等級割引 | 10%〜50% | 耐震等級1で10%、2で30%、3で50% |
| 耐震診断割引 | 10% | 自治体などの耐震診断で現行基準に適合 |
| 建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以降に新築された建物 |
たとえば東京都の木造住宅(ロ構造)で保険金額1,000万円の場合、割引がなければ年間41,100円かかりますが、耐震等級3の建物であれば50%割引が適用され、年間20,550円まで下がります。新築を検討している方は、あらかじめ耐震等級を意識しておくと、長期的に保険料を節約できます。
さらに、地震保険には税金の負担を軽くしてくれる「地震保険料控除」という制度もあります。年末調整や確定申告で申告すれば、所得税は最大50,000円、住民税は最大25,000円まで控除の対象になります。保険料が高いと感じても、実際の負担額は税金の控除分だけ軽くなることも覚えておきましょう。
保険料が高い都道府県こそ、地震保険への加入を前向きに検討しよう
ここまでの内容を整理すると、次のようになります。
- 地震保険料はどの保険会社でも同じで、都道府県と建物の構造だけで金額が決まる
- 保険料が高い都道府県(東京都・千葉県・神奈川県・静岡県・埼玉県・茨城県・徳島県・高知県など)は、専門機関のデータにもとづいて地震が起きる確率が高いと判断されているエリアである
- 「保険料が高い=入らない方が得」ではなく、「保険料が高い=それだけ備えの価値が高い」と考えるべきである
- 耐震等級割引などをうまく活用すれば、保険料は最大50%まで安くできる
- 実際に、地震保険への加入率が低かった地域で大きな地震被害が出た事例もある
地震保険に入るかどうかは、最終的にはご自身やご家族の考え方次第です。



しかし、「保険料が高い都道府県に住んでいるから入らない」という判断は、リスクの高さを裏付けるデータをかえって見逃してしまうことになりかねません
もし今住んでいる場所が保険料の高いグループに入っているなら、それは「あなたの住む地域は、それだけ地震に備える価値がある場所だ」というサインだと受け止めて、加入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
まずは自分の住む都道府県がどのグループに入っているのか、この記事の早見表で確認するところから始めてみてください。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後にもう一度、大切な結論をお伝えします。
地震保険料が高い都道府県に住んでいる人ほど、地震保険に加入する価値は大きい…これが本記事の答えです。保険料の高さは、保険会社の都合ではなく、専門機関が積み重ねてきた地震発生確率のデータにもとづいて決まっています。
つまり保険料が高い地域は、それだけ「もしものとき」への備えが必要な地域だということです。実際に、加入率が低かった地域が大きな地震被害を受けた例もあり、備えの有無がその後の生活再建を大きく左右しました。
とはいえ、保険料の負担が気になるのも当然のことです。そんなときは、耐震等級割引などをうまく活用すれば、保険料を最大50%まで抑えることもできます。
まずは「保険料が高い=危険性が高い」という視点を持ち、自分と家族の暮らしを守るために何ができるか、今日から一歩ずつ考えてみてください。あなたの備えが、いざというときの安心につながります。




